Fate/ms.s

   第10話『偽り』      by風来坊さん








視点・????

「ふん……派手にやるもんだな」

正体不明のサーヴァントを発見し後を付けていくと、

セイバーとライダーと呼ばれるサーヴァントが戦闘していた。

「しっかし人払いもせずにやり合うとはね……」

まあ、後始末は教会の連中に押し付ければ問題ないか。

今回はライダーと正体不明のサーヴァントの確認が出来ただけでも十分な収穫だろう。

「今仕掛けてもいいが、どうやらセイバーとライダーは手を組んでるらしいからな。

  それにあの黒いサーヴァントとの三つ巴は避けたい。今は……今は辛抱だ……」

逸る気を抑える。

マスターからはセイバーとの戦闘許可は貰っていない。

それに今戦闘を仕掛ければやたらに敵を増やすだけだ。

「……今日は撤退だな」

黒いサーヴァントが再び飛行形態に可変し、撤退を始めるのを見とどけ、こちらも撤退した。



視点・士郎

家に無事帰り着く。

「さて、遠坂になんて説明するかな……」

とりあえず遠坂の部屋に向かうことにする。

「シロウ、オレ達はここで警戒に戻る」

「ああ、ありがとうセイバー、ライダー」

「オレはシロウを守り、そして戦う事が存在意義だ。礼には及ばない」

「素直じゃねえなあ、まっどういたしましてエミヤ」

「でもライダー、修理とかしなくて良いのか?」

「あ?まああれだ、企業秘密」

「……セイバーは?」

「シロウ、触れてはいけないこともある」

「……」

かなり気になりますって……

セイバーとライダーはそのまま庭のほうへ歩いていく。

やっぱり気になるけどね……

遠坂の部屋。

「遠坂ー」

「さて、説明をして貰いましょうか」

あかいあくまが居ましたとさ……



視点変更・セイバー(?)

「クッ……」

「大丈夫か?」

「まったくドジっちまったな。救援に行っといて情けねえ」

「その様子だと大丈夫のようだな」

「へっ、当たり前だってーの」

減らず口を叩くライダー。

まあ、修理には時間はそう掛かるまい。

「それよりお前、何時まで黙ってる気だ?」

「む……」

「おいおい……最後まで隠しとおせる訳無いだろ?

  あの坊主も薄々気づいてもいい頃だぜ?

  それにトオサカとか言う嬢ちゃん、多分気づいてると思うぜ」

「それもそうだな……」

「ま、何時までサーヴァント中最強を名乗るか見物でもあるか?」

「言うな、まあ頃合とも思うが……」

「お前の正体が何であるかは興味ねぇさ。

  ただお前はさっきの戦闘でも全力を出してない、いや出せないのか?

  まあどっちにしろ戦闘をやっちまったんだ、多分感づかれてると思うけどな」

そう言うとライダーは修理をするのか土蔵の中に入る。

そして隣に来ていたアーチャーが話しかけてくる。

「お前らしくも無いな」

「……分かってるさ」

「何故、何時までも黙っている?」

「エゴだな、之は……」

「以前の私の搭乗者……あの者をエゴと呼んだ者がよく言う」

「……」

「ふん……しかしそれすらも忘却の彼方か?」

「……それだけの『データ』はあるだが『記憶』は無い」

空を見る。

「しかし、高度なデータを持つ割に全てを無くしているとはね。

  流石の私もお前から聞かされたときは戦慄したぞ?」

「……」

「貴様の『データ』には私への『データ』は有る様だが……

  今は貴様は私のライバルであった貴様ではない」

そう言うときびすを返し警戒に戻るアーチャー。

「今までよくもまあライダーもアーチャーも黙っていた物だな」

独り言を漏らす、今までは自分を自分の中の「データ」こそ「記憶」であると偽りつづけ、

しかしそれもアーチャーとライダー来てから崩壊することとなる。

「しかしオレは……」

そうサーヴァントは元々『人間である』。

つまりこの体の『データ』はバックアップだけの存在であり『人間であった頃の記憶』とは別である、

以前の自分が居た世界の話も所詮『データ』の中の産物である。

それに気づいたのもあの二人(二機)が召喚されてきて始めて知った『事実』であり……

召喚されたときから気づいていた筈の『欠陥』である、つまり……

「オレは何なんだ……?」

己の『記憶』と思われる物は、自分が英霊である事、

そしてシロウ達を騙している自分が居ること、

そしてシロウ達を眺めていた自分が居たこと、それだけ。

……サーヴァントである事は確実だが……

「オレは一体何者なんだ……?」

『セイバー』を名乗っているのは、シロウがセイバーと自分を呼んだ事、

そして自分の武装に剣と同じ物がある事だけを頼りにしていたが、それも薄氷を踏むのと同じこと。

何時かはばれるであろう。

「『セイバー』を名乗っといて無様だな……」

オレの剣には主体となる力が無い、つまり補助的な武器ではあるが『宝具』ではない。

そしてまた空を仰ぐ。



変更視点・ライダー

「まっっっっっっったく。

  戦いのときは有効火器も無いくせに俺の前に立つ馬鹿が意気地がねえ」

修理を終え土蔵から出たところ、

なにやらアイツ(セイバー)がなにやらセンチメンタルよろしく空を仰いでいる所を目撃、

急いで近くの木に隠れ見物していた。

「同感だな」

「うおっ!お前何時から居た?!」

「さっき離れた時、隠れるお前を見て何をしてるか声をかけようとしたが止めただけだ」

「おいおい気配は消さないで良いだろ……しっかしアイツも正直に坊主に話しゃ問題無いのによ」

「確かに、私から見てもシロゥはそうと見下ろした器では無い」

「お前が他人を褒めるとは……」

「時にはそういう気分にもなる」

「ふーん。だけどな、俺から言うのもなんだがアイツ強ぇぜ……下手したら俺よりな」

「当然だ、今でこそ情け無い様を見せているが奴以外私のライバルには成りえない」

「それはお前が俺より強いって事を遠まわしに言ってるのか?」

「さあな……だがお前も本気を出してないだろう?」

「ちっ……まあ俺の宝具はちーっと汎用性に欠け過ぎているからな。

  その代りお前等の宝具よりゃ強力だって自負してるぜ?」

「ふん……」

やっとこさ本当に警戒にもどったか……

「何をしているライダー」

「ゲッ!」

アイツに気づかれた!逃げねば!

「なんでも無いぜ〜じゃあなあああ!トッツアァ〜ン!」

すたこらと警戒に戻る、所でトッツアァ〜ンって誰だ?



視点変更・士郎

「ふ〜ん、で正体掴めず逃げ帰ってきたと?」

「いやそれは違うぞ遠坂、向こうが勝手に撤退していったんだ」

「そうね……でもせめてクラス位分からない?」

「いや突然だったし、主力の武器だって腹や手からのビームだったからなあ」

「そいつ大きかったそうね?」

「ああ、大きかった。かなりな」

「じゃバーサーカー辺りで良いんじゃない?」

「遠坂……」

「だって前回だって規格外に大きかったでしょ!」

「だからって……」

「バーサーカーって私が言ったんだからバーサーカーなの!」

無理やりな……

「そんな目で師匠を見ない!それより気になったことがあるんだけど」

「なんだ?」

「セイバーってどうやって戦ってた?」

「?最初ミサイルみたいなものを盾から出して、

  切りかかったけど何かに阻まれて届かなかった。

  その後は盾からのミサイルと頭部からのバルカンみたいなもので牽制してた」

「そう、剣は持ってたのね?」

「いや……良く分からないが剣じゃ無かったと思う」

「どうして?切りかかったって言ったじゃない?」

「そのな……解析したんだが剣と言うより何かの発生器というか何と言うか……ともかく剣じゃないと思う」

「ならあのサーヴァント一体何のクラスなのよ!」

怒鳴る遠坂、少しは抑えて……え?

「どういう意味だ……?」

「あのセイバーは『セイバー』じゃないって事!

  前から気にはなってたのよね……セイバーを冠する割には剣は持ってないし。

  以前のセイバーも不可視の剣だったけど宝具だって分かる位魔力こもってたし、

  隠匿の為に隠していたにしても警戒しているときでさえ剣を抜いてなかったし。

  何より戦闘の時の主力武器が剣じゃないってどう言うことよ!」

「さあなあ……」

「さあなあってあんた!之が一大事だって分かってる!?

  こうなったらセイバーに直談判でお天道様の下に全てを吐いて貰おうかしら?」

「いや、セイバーにも何か理由があるんだろ?だから無理矢理聞き出すのは良くない。

  それに多分あのセイバーなら自分から来ると思うし……」

「相変わらず甘いんだから……それが良い所でもあるんだけど……」

「ん?何か言ったか?」

「何でも無いわよ!」

「?まあ、俺からもさ、少しずつ話て見ようと思う。

  直接聞かないけど何時か話してくれるだろ」

「分かったわよ・・まったくそう言う所は頑固なんだから……」

ブツブツ言う遠坂、何故顔が赤面する?

「それはそうと桜どうしてる?」

「そうそう。取りあえずは私の魔力で事すむけど結局の所、臓硯倒さなきゃダメみたい。

  完全に融合してる虫がまだ寄生してるらしくて、魔力を少しづつだけど吸い上げてるの」

「何!?」

「落ち着いて。ほぼ完全融合してるけどルールブレイカーのせいか結合が緩和されてるの。

  一気に吸い上げたりは出来ない筈よ、それに本体の臓硯を倒せば無力化できるわ」

「そうか……」

助かる術はあるのか……

「だからと言って楽観できないわよ、魔力補給は補充できて2〜3日分、できたら毎日補充しなきゃ。

  それに無理すれば死んじゃう可能性だってまだあるんだから。

  万が一ライダーの宝具を使う場合の宝石と、緊急用の宝石は持たせてあるわ」

これでまた貸しが出来たわね、と遠坂。

まったく相変わらずだよ。

「今、桜は寝室に寝かせて来たからもう休んでるはずよ」

「そうか、なら俺も休むとするか」

「……ここに泊まって行かない?」

「え?」

「だって今まで離れていたんだし……」

「今までって……まだ4〜5日だぞ?」

「士郎のバカ〜鈍感〜ヘッポコ〜」

「うっ……ヘッポコは関係ないだろ」

う〜っと唸る遠坂、いかん……負けそうだ……いや結果は見えていた……

「分かった、分かったよ」

「えへへ〜♪」

腰掛けていた布団から飛びついてくる遠坂、なんでさ……


続く






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