Fate/ms.s

   第2話『始動』      by風来坊さん








<<視点・????>>

「さてさて…■■■これで準備は整いました…後は誰をマスターに選ぶかですが?」

「問題なかろう、衛宮の子倅も帰ってきたみたいじゃしのう…」

「ほお?あの前回の勝者の者ですか?」

馬鹿丁寧な言葉とは裏腹に、喜色とも嘲りともつかぬ笑顔を見せる黒服一人と、

妙に小柄な年老いた男、一方の口がまた言葉をつむぐ。

「それならば計画に支障が出るのでは?」

「何問題は無い、問題が有るとすれば家の孫をどうやって言いくるめるかじゃが…」

「ほう…自信が有るようで何より」

「無論じゃ…今回は少しばかり趣向を変えてみたからのう…吉と出るか凶と出るか…?」

「それこそ問題有りません、我が機関は暗黙下で聖杯の擬似サンプルを幾万と作成し…

  いや失敗ばかりでしたがね、この度■■■の協力を得られたことで実験にも成功し、

  実際に聖杯自体を製作できる所まで来ていました、そして…」

話の長い男だ…と老いた男は思う。 男の名前を間桐臓硯、500年以上生きた魔術師(妖怪)、

そして黄金の王から焼かれたはずの男がそこに居た、

「そろそろ話は良いじゃろう?」

「ああ…すいません、つい熱が入ってしまって…」

「本題に入ろうではないか?カイドウ」

黒服の男の名は海藤・G・フォルニアフ、妙に礼儀正しいとは裏腹に食えない男である。

そしてその場の会合は夜に耽る…



<<視点変更・士郎>>

「ん〜、久しぶりに帰ってきたんだったな…」

体をむくりと起こす、

「うわ…時差ぼけしてるのかな…もうこんな時間か…」

もう時計は午前8時を指している

「…桜来てるかな…?」

来ていたら悪いことをした、朝食の準備はとっくに出来上がってるだろう。

「急いでいかないとな…」

着替えを済ませ、急いで居間にいくと、

「あ…おはようございます先輩」

「おはよう桜、すまないな…まかせっきりになってしまって…」

やはり桜は来ていた…帰って早々この失態…

「いいえ、先輩は帰ってきたばっかりですからゆっくりしてください」

「いやそれでも悪いことをしたな…まあ…」

っと一呼吸置く。

「ただいま桜」

「お帰りなさい、先輩」

と、帰宅の挨拶を交わす。

「家の掃除とかまめにしてくれてたんだな」

「え…?」

「いや…土蔵なんかも綺麗にしてあったし俺の部屋も埃すらなかった、ありがとう桜」

「いいえ…私が出来ることはこれくらいですから…」

「?桜元気がないな?何かあったのか?」

「いいえ…なんでもありませんよ…それより朝ごはん早く食べないと冷めちゃいますよ!」

そうでした…

「悪いな…では…いただきます」

「召し上がれ先輩。」

む…また桜見ないうちに腕を上げている…洋食ではもう勝てそうにないな…、

っと味噌汁を飲みながら思う…ん?

「先輩!!その手!!」

「え?」

「怪我してます!手当てを…」

あれ?ぶつけたつもりも何も無いんだけどな…

そして左手の甲を見て士郎もまた衝撃を受ける。

それが何なのかを悟ったために。

「…先輩?」

「…あ、すまない桜ぼーっとしてた」

「手を貸してください消毒します」

「いや、いいよ桜自分でも出来るし、そんなにひどい怪我でもないし…」

「ダメです!ちゃんと消毒しないと化膿してしまいます!」

「う…なら頼む桜…」

勢いに押されて頼むしかなくなった…とほほ…頼りない兄貴分だ…

その時士郎は気がつかなかった。

桜の、左手の包帯に。



<<視点変更・桜>>

先輩が帰ってきた、それは嬉しいことだ、だけど…

私はいつもどおり衛宮邸の台所に立つ。

でも…また聖杯戦争がおこるかもしれない…そうしたらまたあの人は…

先輩は戦いに身を投じるにきまってる…もう…あんなことは嫌なのに…

手が止まっていることをはっと思い料理を再開する。

先輩が巻き込まれる可能性は十分なほどに高い…どうしたらいいの…

この日常を壊したくないだけなのに…

『マキリサクラ』

それが私の魔術師としての名前である。

十年余り前にトオサカの家から養子に出され、

それ以来トオサカでは無くマキリとして魔術を叩き込まれてきた。

その苦痛と痛みと黒い悦びが私を苛んで来た。

そうだ…先輩に令呪の兆しがなければ…無ければ最低でも先輩を巻き込まずにすむ…

そんな希望的希望を思う…私としてはそれは絶望と言う事が判っているのに。

いつも通り先輩を迎えそして私は…衛宮士郎の左手の痣に気づいてしまった…



<<視点変更・士郎>>

ピポパピ…プルルル…プルルル…

『Hello…?』

「遠坂か!」

『衛宮君?どうしたの?慌てて…』

「聖杯戦争が…起こる…」

『え…?』

遠坂の反応も判る、俺だって信じられないくらいなのだ。

『待って、衛宮君それって…?』

「今日の朝気づいたんだ、左手に令呪の兆しがあった…!」

『…ぶつけて怪我したとかのオチじゃ無いわよね…?』

「そんなことは無い、俺でも判る…!大気のマナに微弱だけど反応している…。

  多分明日…いや今夜にも令呪になる!!」

『そんな急に…・仕方ないわ…衛宮君私も即急に日本に戻るからそれまで待機!!良いわね!!』

「え…?そんな遠坂ほって置いたらまた関係の無い人を巻き込むことになるかも知れないんだぞ」

『衛宮君…?良いわね?あなた一人で何が出来るっていうの?』

「うっ…それは夜の巡回とか…」

『そして首を持っていかれると?そんなの許しませんからね!!良いわね衛宮君!!

  ぜっっっっったい動いちゃダメだからね!!いい!?これは師としての命令です!!良いわね!!』

「アイサー!!」

我ながら弱い…でも…

ちゃりんと電話を下ろす…

ごめんな遠坂…このまま傍観しているなんて俺には出来ない…!



夜…午後10時。

桜が家に帰り藤ねえも帰路に付いた後俺は…

「さて…何処から見回った物かな…」

ふ〜っと息をつく。

「そう言えばあの日の始まりは学校だったっけ…」

聖杯戦争に巻き込まれたきっかけの最大の理由、

それはあの日赤い弓兵と青い槍使いの戦いから始まっていた。

「まあ、あの時見たいにはなりたくないな…」

巻き込まれたのは不幸だが、更なる不幸は青い槍使いに刺されて死にかけた(実際は死亡)嫌な思い出がある。

「ふう…」

周りを見る、あの時から変わらない十字路…

「さて…新都の方に見回ってみるか」

橋に向かって歩き出す…

「結局何も出ずか…まあそれで良いんだけど」

何も無かったので帰路に着く、十字路に差し掛かったときだ。

ヴォン…

不可思議な機械音がした。

「…な…に…!」

「お前…魔術師だな?微かに魔力反応感知マスターの命により排除する!!」

妙な機械音声で流麗な日本語を発するそれは筒の様な物をこっちに向けて…!!

「うわあ…!!」

ドカアアァァァァン!!

「ちっ…避けたか」

「なっ…!!」

絶句する、それから発した物はその場の道(アスファルト)をごっそりクレーターにしたのだ!!

「まさか…サーヴァント…?!」

「いかにも!」

「そんな…」

それは人では無かった蒼い装甲、闘士を思わせるフォルム、肩に二本の筒を持ち、

腰には丸いチェーンを思わせる物をぶら下げていた。

「いったい何なんだ…!?」

「さて…余り時間を割くわけにも行かない…さっさと終わらせる…!!」

そこからは地獄だった、腰から無造作に取り出した細い筒をこちらに向けぶっ放して来ましたよ!?

「くそっ……同調(トレース)――開始(オン)!!」

とっさに初撃でめくり上がったアスファルトの壁を強化し盾にする!!

バチュウウウウウン!!

「む…魔術か?俺のショットガンを弾くとは…!!」

ハイ!?ショットガンですと?!ならさっきの爆発は武器構成からしてバズーカ…!?

「いったい何のクラスのサーヴァントだよ…!!」

「さあな…マスターはランサーとか言っていたが生憎俺は闘士だ!!」

「…イレギュラークラスか?!」

以前遠坂から聞いたことがある。

以前の聖杯戦争ではどのクラスにも属さないイレギュラークラスが2〜3組居たと言う…!!

必死にあの闘士(サーヴァントクラスと判明)からのショットガンを防ぎつつ家に逃げ帰る…!!

「しっかし何の英霊だよ!?人間じゃないしあからさまに近代兵器使ってるし!!」

だがアレは間違いなくサーヴァントだ、ショットガンを放つ際強力な魔力を感じる!

「くっ…土蔵に…!」

必死に土蔵に向かう、うまくすればサーヴァントを召喚できるであろう、

そしてそのサーヴァントは間違いなく彼女である…!!

「逃さん!!」

蒼いサーヴァントは肩に手をやりバズーカを取り出す…!!

「クッ…間に合えええええええええええぇぇぇぇぇぇ…!!」

土蔵に飛び込み何時できたのか完成している魔法陣に手を乗せる!!

ドッカアアアアァァァァン!!

しかし俺と土蔵が吹き飛ぶことは無かったそして…

「呼ばれた早々だが君が私のマスターか?」

「へ…?」

「へ?では無いだろう?いきなりジャイアントバズーカの玉を受けることになるとはな…」

そうなのだ、この人型をした白い鋼鉄の騎士はその盾でバズーカを難なく止めていたのだ…!!

「クッ…新たなサーヴァントか…」

「ほう…お前ケンプファータイプか?」

「?!」

「何…記録の中に似たようなMS(モビルスーツ)があったのでね?」

「…お前…まさか…ガンダムタイプか?!」

「やれやれ…有名過ぎるのも問題が有るな…」

「ちっ…故郷の怨敵がいるのに…くそ…!!

マスターの命でな、バズーカの弾頭を二発使用したら帰って来いとの命でね…ここは退かせて貰う!!」

言うが早いか蒼い闘士は煙幕を張り、それが晴れる頃にはもう見えなくなっていた。

見事な撤退である。

絶句していた士郎はもう一度その騎士を見上げた。



その騎士はブーメラン状の角があり、

その騎士は「へ」の文字を並べたような口をしており、

その騎士は聖騎士を思わせるほど白く、

そして肩には赤い三角のマークが付いていた。



「改めてだ…君が私のマスターか?」

「…セイバー?」




続く








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