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   第4話『接触』      by風来坊さん








夢を見た…


真っ赤な空を見る


体は炎に包まれしかし眼前の壁を押し続ける


青い星に落ちるそれを押し返す


それは


はたから見れば愚かな行為であろう


それは滑稽であろう


しかし止めない自分がどれだけ人に理解されなくとも


自分はその人々には絶望はしていない


それに呼応するように集まる命しかし


それを自分は良しとしない


犠牲になるのは自分だけで良いと…




「ん…」

変な夢を見た。

行ったことも見たこともない宇宙の話。

多分セイバーのイメージ(前回の経験から)が流れ込んでいるのだろう。

「…悪いことをしたな…」

余り他人の過去を見るという行為は自分でも余り気分が良い物ではない。

「起きたかシロウ」

「うっわわわわわわ…」

「…一目見るなり随分な反応だなシロウ」

むっ…とふくれるた様に見える(しつこい様であるが彼?の顔は変わらない)セイバー。

びっくりもする、いきなり枕元に立たれていると…

「すまないセイバー」

「気にしてないぞシロウ」

思いっきり気にしてた様に見えたが気のせいですか?

「そう言えば先ほど誰か家の中に進入した者がいる…結界に反応しなかったから様子を見ていたのだが…」

「あっ…!!」

今何時だっと時計を見る、6時20分、この時間だともう桜来てるよな…

「敵意があると見えたら即撃墜する、シロウはここで待っていろ」

「待ったセイバー!それは多分桜だ…桜って言うのは俺の友達の妹で敵じゃないから攻撃しちゃダメだ!」

「ムッ…」

さて…桜にセイバーの事をどう説明したものか…そもそも説明のしようがあるのか?

「セイバー、此処で待っていてくれ。ちょっと桜のところに行って来るからさ」

「了解した、シロウ」

敬礼をするセイバー、そう言えば軍隊出だって言ってたよな…



居間につくと料理を始めている桜に会う。

「おはようございます先輩」

「おはよう、桜。また出遅れちゃったな」

「いいえ、先輩はつい先日帰ったばっかりですからまだ疲れが取れないのでしょう、ゆっくりしてて下さい」

「そうも行かないな桜、何時までもだらだらしていると桜に笑われてしまうからな」

「そんなことしませんよ先輩」

それならと一緒に作る事にして、並んで台所に立つ。

桜……なにか疲れてないか?

「先輩…突然すみませんが、明日から兄の世話で何日か来れませんけど良いですか?」

「え?ほんとに急だな。まあ、慎二の世話ならしょうがないな」

慎二は前回の聖杯戦争で痛手をうけて1年入院し、今は家で療養していると言う事だ。

「すみません…」

「謝ることじゃないぞ桜。しかし慎二大丈夫なのか?」

「いえ…世話って言っても久しぶりに外に出たいと言い出して…」

「あいつ…まあ気持ちは分かるかな」

いくらなんでもあの慎二が家の中でじっとしているのは無理があると思える。

「それで少し遠出をして温泉に連れて行こうと思いまして…」

「ああ…桜も楽しんでこいよ」

「はい…」

リリンリリン…

「あ…こんな時間に電話か珍しいな…ちょっと出て来るよ桜」

「盛り付けしておきますね」

「ああ、そうしてて貰えると助かる、桜」

そう言って廊下に出て玄関の電話に出る。

「もしもし衛宮ですが?」

「衛宮か!?」

「どうした慎二?」

なんと、時の人の慎二からだった。

しかし、何を慌てているんだ?

「すぐに僕の家にこれるか?!」

「落ち着け慎二。なにがあった?」

「電話じゃダメだ!!直ぐにでも来れないか!?」

慎二の取り乱した声は事態が深刻と言うことを意味していた。

「なんだか分からないが分かった、直ぐ行く」

「直ぐだぞ!!良いな!?早く来いよ!!」

電話を置く、急がないといけないみたいだな。

「先輩…」

「桜?」

気づけば桜が隣に居た、

「どうした?」

「………」

ふう…っと息をする桜、何か思いつめてるみたいだな…

「何か心配事でもあるのか?」

「…今の電話…兄さんからですよね?」

驚いた…

「そうだけど急いで家に来てくれって言ってた。多分何か俺に用が…」

「行ったらダメです!!!」

「桜!?」

しがみ付いてくる桜…何があったんだ?

「桜…何か知ってるのか?」

「…ったら…ダメ…」

桜は何も話そうとしない、ただただ行ったらダメですと消え入りそうな声で呟いていた。



<<視点変更・桜>>

どうしよう…今兄さんにあったら兄さんは絶対聖杯戦争のことを話してしまう…

この聖杯戦争がおきた理由を…そして自分のことを…兄さんどうして…

私は…私は…



ただこの場所(箱庭)を壊したくないだけなのに…



「桜…」

「ダメです…いったら…ダメです…」

嗚呼…どうしようもなく私は…自分の…魔術師としての自分を…彼に知って欲しくない…!

それを知ってしまったらきっと彼は私に振り向いてくれなくなる…



<<視点変更・士郎>>

桜は俺を放そうとしない。

その時だった。

「士郎〜ご飯食べに来たよ〜♪」

と、雰囲気ブレイカーがやってきた…

「桜ちゃんどうしたの!?士郎!!桜ちゃんに何をしたのよ!!」

「おっ…俺は何もしてないぞ!」

「でも桜ちゃん泣いてるじゃない!」

「違う!俺でも分からない…今慎二から直ぐ来てくれって電話があってその後急に…」

「言い訳無用!!って士郎に言ってもしょうがないか…桜ちゃんとりあえず訳を話してくれないかな?」

「………」

「桜ちゃんは任せて、慎二君から直ぐ来いって言われたんでしょう?

  行って来なさい、話はそれからと言う事で」

ぴくっと桜が反応したのに誰も気づかなかった…

「ああ…分かった桜帰ったら相談のるからな。」

「あっ…」

桜を藤ねえに任せて門を出ようとした時だ。

「シロウ」

「うっわ…!!」

「む…シロウは何故いつも驚くのだ」

門の端にセイバーがいた。

気配を消していきなり声をかけられたらびっくりもすると思うのですがセイバーさん?

「すまないセイバー」

「何、気にしていない、それよりシロウ」

やっぱり気にしているように見えますがセイバーさん…

「何だセイバー、急いでるんだ。長話できないぞ」

「いやあのサクラとか言う者についてだが微かだが魔力反応を感知したのでな」

「桜が!?」

「うむ…何とも言えないのだが少し気になる…」

気になる事態ではあるがそれよりも…

「気にはなるけど…それより慎二の家に行く何か知ってるかもしれない」

「なら同行するシロウ」

「霊体化できるのか?」

「いや…なにぶん機械人形なので無理だ。

  だが幸い先の戦闘でこんな物が手に入ったのでな…」

と、何か生地を広げて見せるセイバー

「セイバー、それは?」

「あのケンプファータイプ、よほど急いで撤退したと見える…光学迷彩式の特殊ケンブラーだ。

  魔力量からして10分程度だが不可視状態になれる…使い捨てのようだが、

  行き帰りの分なら十分だろうし、目的地では隅で隠れているとしよう」

「…ああ、分かったセイバー」

実言うと全然分からないが…言うが早いが生地を纏うセイバー。

「急ぐぞシロウ。行き帰りで使える時間は5分しかない」

「ああ…ってわあ!?」

スウゥゥゥっと消えていくセイバー…何処かの魔法学校のマントみたいだ。



なんだかんだ言いながら慎二の家につく。

「セイバーは此処で待っていてくれ」

「なら庭の隅で待機しておく」

見えないセイバーに話しかける…シュールだ…。

前回のセイバーも霊体化できなかったからこう言うのは慣れていない…

インターフォンを押して慎二を呼ぶ。

「衛宮か!?」

「慎二、いったいどうしたんだ?」

「早く家に入れ、話はそれからだ!!」

慎二に促がされ家に入る

「で…なんだ慎二?」

「気づいてるんじゃないのか?聖杯戦争の事だ!」

「!?」

慎二も気づいていたのか聖杯戦争の事を…

「いいか?良く聞けよ…?   今回の聖杯戦争を起こしているのは家の爺の臓硯って500年生きている妖怪だ…!!」

「うっ…!?」

「今まで言えなかったが…前回の聖杯戦争も僕と桜を利用していたのはそいつだ…!」

「まて!今、桜って言わなかったか?!」

「知らなかったのか?」

初耳も良い所だ…よりによって桜が?

「前回の聖杯戦争でライダーを呼び出したのも桜だ…まあ臓硯に無理やりって訳だが…」

「クッ…」

怒りで頭がおかしくなりそうだ…

「今回の聖杯戦争についてだが僕は参加できない、と言うより願い下げだ…」

「!」

慎二…

「前回の聖杯戦争でも桜を蹂躙して参加していた…もうあんな事はしたくない。

  それよりももっと重要なことを話す。良く聞け」

「ああ…」

正直、慎二の行為は許せない物があるし、臓硯って奴にも殴りつけたい気持ちが爆発しそうだが、

必死な形相で話す慎二は何かが違うようだ…

「臓硯は前回この家ごと焼き払われて焼け死んだと思っていた…だが違った!

  奴の本体は桜の中にいたんだ」

「な…に…!」

「その事を察知したのか……前回のサーヴァントでキャスターだったか?

  そいつが妙な短剣で桜を刺して、臓硯の本体が飛び出してきた。

  多分融合していた鎖が断たれたせいだと思う…」

ルールブレイカーか…

「なら今の桜には?」

「何年も融合していたんだ。障害はあるけど…今の桜には臓硯は居ない。だが…」

「だが…?」

「臓硯は逃げた…その時同時に魔力をごっそりと持っていった…

  もう…桜は1年…いや、下手したら半年も生きられないだろう…」

「なっ……!」

昨日も元気だったんだ…今日だって…

「元気だったろ桜…あいつはかなり無理してる…もう桜の魔力は底をつきかけてる…

  何故魔力が回復しないのか、その理由は僕では分からない…」

「…そのことは桜は?」

「自分の体のことだ…気づいてるだろうよ」

「なんて…ことだ…」

「…まだ話はある」

「何だ…?」

「桜は今回もマスターとして選ばれている。

  多分サーヴァントを召喚したら魔力が大幅に…失われる。

  そうなったら桜はもう生きられないかも知れない…」

「な……!!!!」

何だって!?桜が…桜がマスター…!?

いやそれよりも、サーヴァントを召喚したら桜は…

「助ける方法は無いのか慎二!」

「…考えられる方法は三つ…。

  サーヴァントを呼び出して桜が生きているうちに人を襲わせて魔力を摂取するか…

  桜に近しい魔力を何処かから調達してくるか…

  桜をまあ…あれだ…衛宮が(耳にあててゴニョゴニョ)だが…」

意外に今の慎二は慎ましいな…

「それだけしかないのか…?」

「というよりも…この中で不可能なのが二つ…

  一つめは言うことなしで却下だ、桜自身にも負担が大きすぎる。

  召喚したショックでそのままかもしれない…。

  三つめだが僕だって試さなかった事は無い…だが拒絶反応があった。

  多分桜の魔力補給は特殊な条件が出来ているみたいだ…」

「おい…三つめ試したのか?仮にも兄貴だろう?」

「…助けるために仕方なくさ…それに僕と桜は血がつながっていない」

「何?」

「たしか小さい頃、何処かの家から養子に出されて来たんだ…」

「その家は分からないのか?」

「さあね…僕には何も話さなかったし興味も無かった」

「そうか…」

慎二を責めてもどうにもならない…過ぎたことだ…まあそれで納得できる物では無いが。

「クソッ…慎二!!臓硯って奴は何処に逃げた!?」

「落ち着け衛宮」

「………」

此処に来て怒りが抑えられずに大声で叫んでしまった…。

今すぐにでも殴りつけに行きたい位に視野が狭くなっている。

「僕だって何もしないでいたと思うか?

  臓硯は桜の魔力を奪って気配を消していたが…最近その行方がつかめた」

「何!何処だ慎二!!」

居てもたってもいられなくなる…桜の体をボロボロにしたのも!

「落ち着けって衛宮。

  一筋縄では行かないところだ…Mip開発って会社知ってるだろう?」

「ああ…最近ロボット工学で有名なところだよな?」

「何故かそこの会社あたりでわずかに魔力の残りらしき物ががあった…」

「慎二…魔力感知できるのか?」

「いや…正確には僕の推理だけど…桜がそこを通るごとに臓硯を前にした様におびえるんだ。

  …多分臓硯が残した魔力におびえているんだろう」

「そうか…」

表立っては産業機械の会社だが何故…?

「僕にもその理由は分からん。もしかしたらMip開発が関わってるのかもな…」

「まあ此処での詮索は無意味か…」

「そうだな…最後になるが今日桜から温泉に行くとか言ってただろう?」

「ああ…」

「あれは嘘だ…もう桜は動けない…今日は最後だから無理して行ったんだろう…」

「……」

「薄々は分かってた様だな…」

「ああ…」

「あいつは強い…自分を騙す事が凄く上手い。

  いくら疲れてようが隠し通してしまうだろう…」

「……」

「長くなったな…僕が全部話したことは、多分桜自身気づいてるだろう」

ああ…だからか…だからあんなに…

「衛宮…頼みがある…」

「何だ慎二」

「桜をお前の家に置いてくれないか…?」

「…!」

「桜はこの家と僕に恐怖の念を抱いている…それに…僕も…」

っと袖をまくる慎二。

「この通りだ…薬だよ…理性を吹き飛ばすとか…これで桜に酷い仕打ちをしてしまった…!

  今は大分薬は抜けているけど…桜を見るとどうしても……頼む!!」

と頭を下げる慎二…元の彼の姿は之なのだろう。

いや……俺は知っていた。

以前から無理やり人の邪魔をしたり暴力を振るう奴ではなかったことを。

「ああ…分かった慎二…」

「頼む、衛宮…桜を助けてくれ…」

門を出るとセイバーが居た。

「話は終わったか?」

「ああ…」

「ふう…シロウ。お前は背負う物をつめこみ過ぎている気がするぞ…」

「……」

「まあ…今日は帰還するぞ。もう正午を過ぎた」

言われて気づく。

もう午後1時か…

「急いで帰るか、セイバー」

「了解した、シロウ」

消えるセイバー。

さて…桜に何て言うかな…



「ただいまー」

「士郎〜お帰り〜♪」

なんと…

「藤ねえ!?学校はどうしたんだ?」

「ちゃんと有給をとりました!それよりご飯ー」

はあ…

「一応教師なんだからちゃんとしないとダメじゃないか。」

「教師だからです!あんな桜ちゃんを一人置いて学校なんて行けません!

  あの後桜ちゃん倒れちゃったんだから!」

「何だって!?」

「そうだった…士郎ご飯は後で良いから早く桜ちゃんの所に行ってあげて。

  客間に寝かせておいたから」

教師してるんだな藤ねえ…珍しくナイス判断だ…明日は虎が檻から逃げ出すか?

「むっ…何か失礼なこと考えなかった?」

「何でもないよ…客間だったな?」

「うん、寝てるから静かにね…でも早く帰ってご飯つくってね♪」

前言撤回、藤ねえは藤ねえでした…



桜が寝ている部屋に来た。

トントン…

一応静かにノックをする。

「桜、入るぞ」

「はい…」

「!」

そっと入る、客室のベッドで桜が半身を起こしていた。

「無理しなくて良いぞ、桜」

「はい…」

そう言って横になるように促がす…

「先輩…」

「なんだ桜?」

「先輩…兄さんから全部聞いちゃったんですね…?」

「ああ…」

「前回のことも?」

「ああ…全部聞いた…」

「…先輩…もう…」

と言いかけたところで口をはさむ。

「桜、心配しなくていい。

  俺は桜を嫌いになったりしないし、見捨てたりしない。

  安心していい、だから今は眠るんだ、桜…」

「はい…あ…先輩…」

「何だ?桜」

「手を…握ってもらえませんか…?」

「ああ…桜が寝るまで握ってる」

「ありがとうございます先輩」

「お礼なんていい…礼なら藤ねえに言ってくれ。

  俺じゃ何をしたら良いか分からなかった…」

「はい…でも…ありがとうございます…」

「ああ…どういたしまして桜」




目を瞑った桜の瞳から涙が一滴出ていた…



続く






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