Fate/ms.s

   第5話『あかいあくま帰還』      by風来坊さん








桜が寝入って居間に戻った……さて遅い位だが軽めに昼食を作るとしよう。

「む……醤油が切れそうだな後で買い足しに行くか……漬物は……あるな。

  メインは残りの野菜とベーコンで炒め物にしてしまおう。味噌汁は今朝の残りを……」

時計は1時半過ぎ……あんまり作ると夜に響く。

量を作るのは止めておこう。

「よし……こんな物か。さて……」

調理に取り掛かる。

「士郎ーご飯まだー?」

「まだだ。もう少し我慢しろ藤ねえ」

そう言って虎をなだめる……変わらないな藤ねえは。

「よし、出来たぞ藤ねえ」

「まってました〜〜〜♪」

テレビのチャンネルをいじくりながら藤ねえは(文字通り)飛んでくる。

虎って飛べたっけか?

「いっただっきまーす♪」

と言って獲物(エサ)にかぶりつく虎一匹……本当に相変わらずだ……

「む……最近多いよねえ……この事件」

「何のことだ?」

「うん……何時からだったかなー。ガス爆発とかが頻繁に町で起こってるらしいよ?」

「へえ……」

それは多分、あのサーヴァントのバズーカで出来たクレーターだろう。

そんな風に報道されてたのか……

「うわー今度は近い……ってほどがあるわい!そこの十字路?!なんでー?気づかなかったよ!?

  何時?何分?何曜日?地球が何回、回った時〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」

言動が退化してるぞ藤ねえ。

「う〜ん……そんな近くでこんな事件が起こるなんてね〜……」

じ〜っとテレビに見入る藤ねえ。

魔術師協会からの介入はあるだろうが出来るだけ街中で戦闘は避けたいな……

被害者が出なくても不安にさせる人たちが居ては居心地が悪いという物だ……

「士郎も気をつけるんだよ〜」

「分かった藤ねえ」

食事が終わって、藤ねえは家に仕事が残ってるから片付けてくる、と帰ってしまった。

後片付けをしていてふと気づく。

「あ……セイバーそう言えば何処にいるんだ?」

片づけを終えて少し探してみることにした。

「セイバー!」

「何かなシロウ」

「うわっ……!」

「フウ……」

そう渋い顔(無表情であるが)するなセイバー……

「すまないセイバー……まだ慣れなくて」

「それは気にしてないが何かようが有ったのでは無いのか?」

「いや……セイバーがどうしてるかなーっと思ってな……」

「ふむ、私はそこの倉庫らしき建物に興味を抱いてな、少し見させてもらったが……」

「倉庫?ああ……土蔵のことか……」

「土蔵?土蔵とは何だシロウ。」

「知らないのか?まあ無理もないとは思うけど……」

たしかに土蔵なんてセイバーの世界では無いのもうなずける。

いやあるのかも知れないが、セイバーの出身は兵士ならぬ兵器だったのだから、

縁が無いのはむしろ普通と思える。

「土蔵っていうのはまあ倉庫と同じに考えていい」

「ふむ……だが魔力反応があるのは何故だ?」

「土蔵は俺にとって工房みたいなものだからな」

「ほう……」

意味深にセイバーが呟く……

それからセイバーは土蔵が気になるらしく入り浸っていた。



もう5時か、そろそろ夕飯のしたくにとりかかるか……

リリンリリン……

む……電話か。

腰を起こして電話に出る。

「もしもし、衛宮ですが?」

『あっ士郎〜?』

「藤ねえ?」

『今日ね〜♪お爺さんの友達が来てこっちでご飯食べるようになっちゃった〜♪

  だから私の分は今日は良いよ〜♪』

楽しそうな声だ……多分その人が寿司あたりでも持ってきたのだろう……

うらやましくなんて無いぞ!少し食べたいけど……

「ああ……分かった」

『はいは〜い♪また明日ね士郎〜♪」

ガチャンと電話を下ろす、悔しくなんて無いやい……

さて……夕飯にとりかかるか、ん?

「あ……先輩……」

「桜、おきて大丈夫なのか?」

「ええ……それに……夕食の準備を……」

「ふらふらじゃないか……ダメだ部屋で休んでなさい」

「でも……」

「桜……気持ちは嬉しいが桜がまた倒れたら俺はどうしようもないぞ?

  だから安静にしてゆっくり寝てた方が良いんだぞ」

「……」

「でも桜が寂しいのなら居間で待っててくれ。直ぐに準備して持っていく」

「はい……」

桜をなだめて夕食の準備に取り掛かろうとする、

ぴんぽ〜ん……

「あ……先輩お客さんが……」

「ああ……桜はそこで休んでてくれ」

「はい……」

ぴんぽ〜ん……ぴんぽ〜ん……ぴんぽんぴんぽんぴんぽん……

連打ですか!?

「はいはいどなたですか〜?」

「む……8連打ならず……」

「……遠坂……」

「士郎……ただいま♪」

「ああ……お帰り遠坂」

いきなりの帰宅にびっくりする間もなく挨拶を交わす俺と遠坂

「あがれよ遠坂。こんなところじゃ話も出来ない」

「そうするわ衛宮君」

む……呼び名がころころ変わるものだ……

「遠坂早かったんだな……明日かと思ってたんだぞ?」

「あの後直ぐに、電話で日本への直行便を手配してそのまま直ぐに急いで帰ってきたのよ。

  大変だったんだから」

む……それは迷惑をかけた……

「すまない遠坂、ありがとう」

「衛宮君が謝ることもないわ、こんな事態私も想像もしてなかったんだから」

喋りながら居間につく。

「あ……遠坂先輩……」

「桜さん……いらっしゃったんですか」

「む……知り合いだったのか?遠坂、桜」

「ちょっと色々あってね……」

初耳だった、まあ知り合いでも不思議じゃないだろう。

同じ学校だった訳だし。

「ああ……そうだ、遠坂、桜、大事な話があるんだ聞いてくれ」

そして俺は慎二から聞いたこの聖杯戦争の事実と、桜の体のことを話した……



「…………」

「…………」

「遠坂……桜……?」

「許せない……臓硯!」

「落ち着け、遠坂。気持ちは分かるがそんなに取り乱すなんてらしくないぞ」

クッ……っと力を抜く遠坂。

「ごめんなさい衛宮君……すこし頭に血が上りすぎたわね」

「良いって。俺自体、絶対に許せなくてしょうがなかったんだ……」

言葉どおり俺はこれ以上怒りを抑える自身が無かった。

「……ふう……衛宮君、話しておきたい事があるんだけど……」

「何だ?遠坂」

「さっきの話からすると、桜に近い魔力を補充すれば桜は助かるのよね?」

「ああ……」

だがそれは時間稼ぎにしかならない事をは遠坂は気づいているはずだ……

「桜さん……いいえ、桜は私の実の妹なの」

「え……?」

「遠坂先……」

「桜は黙ってて」

これまた初耳だ……知り合いって事は気になってたがまさか姉妹だったなんて……

「だから、もしかしたら私の宝石から魔力を補充できるかもしれない」

「本当か!?遠坂!」

「やってみなきゃ分からないけどね、でも話からすると可能性はかなりあると思うわ」

桜が遠坂の妹だって言うのもびっくりしたが、でもそれが出来たら桜は大丈夫だろう。

「それと、一応確認しておくけど」

「なんだ遠坂?」

「その慎二なんだけど信用できるの?」

そうか……遠坂あの時酷い目にあったもんな。

「大丈夫だと思う、雰囲気で分かるけどあの時の慎二とは全然違った」

「そう……」

あの時の慎二は間違いなく俺が知り合ったときの慎二だった。

「そうね……でも後にしましょう、夕飯食べてからでも遅くはないわ」

「そうか、遠坂お腹減ってるのか?」

「急に色々急いでたしねお腹ペコペコなのよ」

「なら準備する待っててくれ」

「お願いするわ」

腰を上げて台所に立つさて……

「桜……」

「遠坂先輩……」

「その呼び方は止めない?」

「え……」

「その呼び方は他人が居る時だけでいいわ」

「でも……」

意味深な会話をする姉妹……俺が入るのも無粋というものだろう。

「出来たぞ〜」

「ありがと、結構早かったわね」

「ああ、何作るかはあらかじめ決めてたからな」

「ありがとうございます先輩……」

「お礼を言われることでもないけど、どういたしまして桜」

そして今日の献立は魚の煮付けにサラダ、大根を使った味噌汁、添え物に沢庵というメニューだ。

「いただきまーす」

「いただきます」

「いただきます……」

さてと食べますか……

それにしても俺何か大切なこと忘れてないか?

「そうだった……遠坂、桜。紹介したい人(なのかな?)が居るんだけど」

「へ?」

「あっ……」

食事が終わってから思い出す、なんて失態。

気づいていない遠坂と、何か分かった桜、遠坂なら気づいていると思ったんだけどな……

「それって貴方のサーヴァント?」

「なんだ気づいてるじゃないか遠坂」

「当たり前じゃない。左手の令呪に気づかないほうがよっぽど変よ」

それもそうでした……

「衛宮君のサーヴァントは勿論セイバーだったんでしょ?」

「そうだったんだけど……」

「?」

「まあ呼んでくるから待っててくれ」

今度こそ分かっていない遠坂、そりゃそうだよな……

外に出て土蔵に向かう。

「セイバー!」

「なんだシロウ」

やっぱり此処にいたか……

「セイバー、先日言ってた俺の師匠が帰ってきたんだ」

「その様だな、魔力反応が一つ家の中にあったから気にはなっていたが」

「そうか。紹介したいんだ、来てくれ」

「了解した、シロウ」

セイバーを連れて居間に向かう……さて嵐の予感。

「連れてきたぞ遠坂」

「ありがと衛……え?」

絶句する遠坂、無理ないよなそりゃ……

「はじめましてメイガス、私はセイバーのサーヴァントです」

「え……?」

「えっと……」

絶句する姉妹。

分かる、すッごく分かる、分かるけど……

「シロウ二人はどうしたのだ?私に何かついているのか?」

「セイバー、少しショックなことがあったんだセイバーのせいじゃない」

となだめる、確かにセイバーのせいじゃ無い……

「衛宮君……?」

「ハイ、ナンデショウカトオサカサン」

「之は何の冗談?」

「いや……冗談じゃないんだ遠坂」

「本当なの……?」

「まじめな嘘はつかない……」

「なんですってええええええ??!!」

「ええっ……!?」

叫ぶ遠坂、絶句する桜、説明に苦労しそうだ……




続く






Next

Back

GIFTTopへ

indexへ