Fate/ms.s

   第8話『マッドゲーム』      by風来坊さん








視点・?????

真っ暗な森の中で男の声が聞こえる

「ふ〜ふ〜……」

ったく面倒なことになった、いや自分の迂闊さも此処まで来ると自分でも呆れる。

「クッ……」

息を整え敵を見つけようと辺りを見回す

「令呪を……いやまだだ……まだ使うべきじゃない」

まだ自分は動ける、それに敵の位置さえいまだ確認できない状態で令呪など使える物か。

「くそ……何処から撃ってきやがる」

悪態をつく

「く……キャスター」

「はい、マスター」

「まだ敵の位置は特定できないのか?」

サーヴァントに敵の位置を探らせているが……

「すいませんマスター、敵は恐らくアサシンと思われます。

  ですから私(わたくし)の能力を持ってしても特定は不可能です」

「くそ……」

バシュ!

「が……」

「マスター!」

足が……

「よく粘るわい……しかし今回はわしの勝ちじゃて」

嗄れ声が聞こえた瞬間

バス!

「マスターーーーーーーーーー!」

サーヴァントの叫びがこだました



視点変更・士郎

「そうそう士郎〜明日から私修学旅行の引率で出張だから〜」

「何!聞いてないぞそんな大事なこともっと早く言えよ藤ねえ」

「いやねえ、昨日引率の先生が一人倒れちゃったんだ、

  そんなに大した事無いみたいだけど、先生の人数が足りなくなっちゃってねえ〜。

  私が代打で行く事になっちゃったんだ〜」

「そうか、なら仕方ないな」

「ごめんね、士郎。せっかく帰ってきたのに会う暇無くて……」

「いや、仕事なら仕方ないだろ藤ねえ」

「む〜士郎は寂しくないの〜?

  私は寂しいよ〜今まで朝と夜しかあってないし〜休みも無かったし〜」

「確かに朝御飯と夜御飯の時しか来ないからね藤ねえは」

まあ、それは仕方ないだろう。

一応教師なんだし昼間はちゃんと学校で仕事しないといけないし。

「わ〜ん士郎が冷たいよ〜」

ドタンバタンと暴れる藤ねえ。

「寂しい割りには前夜御飯の時はご馳走につられて来なかったな」

「む〜、だって蟹だよ?蟹たべたかったんだも〜ん」

寿司と思っていたが蟹でしたか……

「まあ、そう言う訳で明日から一週間居ないけどちゃんとしてるんだよ〜」

「ああ、分かった藤ねえ」

「じゃいってきまーす!っと、今晩も御飯要らないからね〜」

「ああ、行ってらっしゃい」

「いってらっしゃい、藤村先生」

多分明日からの準備だろう。

しかし修学旅行?今何月だっけ?

ちらりとカレンダーを見る。

11月9日。

ふむ。丁度修学旅行の時期だな。

寒かったから12月位かと思ってた。

向こうはほとんど変わらない気候だったからな……。

時差だけじゃなくてこう言う所までぼけるのか?

「さてと……掃除でもするか、桜に今までまかせっきりで悪かったしな」

む……でも家の中はかなり綺麗にしてある、外の落ち葉を片付けるか。

「まったくのんき者ね、まあ今のところ動けないから仕方ないか」

「遠坂……」

「まあサーヴァントが揃いも揃って霊体化出来ないようじゃ、昼間に偵察もなにも無いしね」

「先輩買い物行かなくて良いんですか?」

「あ……醤油買ってこなきゃな。忘れてた、ありがとう桜」

「いいえ、他にも買い足したい食材もありますし、それに買い物に行かないとそろそろ冷蔵庫が……」

「……そうだった、今まで桜と藤ねえしか居なかったのに二人も増えたからな」

色々買い物の品を決めて桜と買い物に行くことになった。

「遠坂は行かないのか?」

「私はこの聖杯戦争がかなり異常だと思うのよ。

  サーヴァントしかり臓硯しかり……だからアーチャーと少し話をしてみるわ」

「ああ、分かった遠坂留守番頼む」

「そうそう、一応私も欲しい物あるからこれ見て買ってきて頂戴」

「ああ、分かったじゃ行ってくる」

「行ってきます姉さん」

「行ってらっしゃい士郎、桜」



視点変更・????

「む……」

蒼いサーヴァントが森の中を散策していた所興味深い物を発見した。

「口径は……8mmと言った所か」

日が高いこの時間は人目のつかない場所で待機をするため此処に来たが……

「血痕か?」

草に血の跡を見つけた。

「向こうに続いてるな……」

跡を追ってみる。

「しかし良く避けてるな……」

独り言が多いのは昔からの癖で治そうと思ったが面倒なので止めた。

「む……これは……」

大量の血の跡とその上に横たわる屍骸を発見した。

「左腕が無い……っと言うことはこの者はマスターだったと言うことか」

何箇所もさきほど見た口径と同じ銃で撃たれている。

とどめは当りをつけずとも頭部の一撃であろう。

「む……これは?」

手帳を見つけるかろうじて名前の部分だけ読み取れる……

何々……ベルガ・ツァイ……肝心の後半の姓だけ凝固した血で読み取れない。

「ふむ……恐らく長距離からの攻撃か……」

っとなると俺のデータの中では一機思い当たる節がある。

「アーチャーかもしくは……」

奴だろう、しかもこの者は逃げ回っただけで攻撃を行っていた形跡も無い。

と言うことは『敵を見つけられなかった』ということだろう。

「ふん……あの気味の悪い魔術師のサーヴァントか、

  しかし勝手な行動をしているなあの魔術師……」

まあ……俺がやるのはマスターの命だけであの魔術師からの指図など受ける気などさらさらない。

「もっとも……マスターに害をなす様なことがあったら」

即座に抹殺すべきだろう、いやその様な素振りだけでも消すべきだと思える。

「ベルガとか言ったなこの魔術師」

恐らくどこぞの魔術師の家系に雇われた刺客という所だろう。

「形跡は消すべきだな……」

爆発物を仕掛ける。

「夜になる前にマスターに報告せねば」

背を向けて歩き出し、数秒後、後ろで爆発が起こり鳥が逃げる。

「さて……この爆発の埋め合わせをどうするかな」

独り言を言いながら森の中を進む。

視点変更・士郎

昼も過ぎ夕方になってきた。

「さーてと夕飯の支度しなきゃな」

「今日は何にします先輩」

「せっかくすき焼き用牛肉買ってきたんだ久しぶりにすき焼きにするに限る」

時間限定30分セールで100gすき焼き用牛肉がなんと500円!!

たまには良いと思って買ってきた。

「よし……メインはすき焼きで味噌汁と御飯で添え付けにサラダを作ろう」

「はい♪」

さて取り掛かるか……ん?

「セイバー?」

「何かなシロウ」

「……いや何でも無い」

珍しいセイバーが自分から居間に来るなんて……

「シロウ」

「何だセイバー?」

「後で話がある。食後で良いので聞いてくれないかな?」

「ああ、かまわないぞセイバー」

「了承感謝する、シロウ。では、警戒にもどる」

言うが早いかあっという間にいなくなるセイバー、何度見ても早すぎる……

料理を終え、すき焼き用の鍋を食卓に出してカセットコンロで過熱しておく。

「士郎〜、桜〜、御飯何ー?」

ナイスタイミングとばかりに遠坂がやってきた

「すき焼きだ、遠坂」

「あら珍しい、あの士郎がすき焼きなんて……明日は矢が降るかしら?」

「あのな、遠坂……俺でも奮発するんだぞ」

特売品だけど。

「いやね〜。向こうで士郎にお財布預けたらキリキリで肩身が狭かったんだから」

「それは遠坂の宝石のためだろ?万年金欠じゃ少しくらい切り詰めないといけないだろ」

鍋をつつきながら話をする。

「でもさー、あの鑑定のバイトかなりいい稼ぎだったじゃない。

  何であそこまで切り詰めないといけないのよ〜」

「それはな、遠坂……遠坂がそのバイトの稼ぎの半分以上を宝石代にまわすからだろ?」

「うう……それでも結構あまったじゃない」

「それも遠坂家の伝統のため(常に優雅たれ)のおかげで飾り物に消えていった気がするぞ?」

「はうううう……」

「先輩、向こうではどんな暮らしだったんですか?」

「ん〜……中身は此処での暮らしと変わらないぞ。でもご馳走なんて食べなかったな〜」

「でも向こうで日本食作れたんですか?」

「いや、無理だった。日本からの輸入品を取り扱ってる店が、電車乗り継ぎで1時間以上かかるんだ。

  流石に休みの日でも行くのは気が引けたな」

「でも近くにもお店があるんですよね?そこじゃダメなんですか?」

「米もパサパサした奴しかなかった。

  まあチャーハンみたいにして食べても良かったけどやっぱり炊いて食べたかったな」

「そうなんですか」

色々お土産話をする、今思えばこういう話をするのは帰ってきてから初めてだ。

「ご馳走様」

「ご馳走様でした」

「ご馳走様、そうそう士郎、桜。ちょっとこの聖杯戦争のことで分かったことがあるんだけど」

「ん?何か分かったのか?」

「分かったて言うか分からないって言うか……ともかく聞いて」

「分かった頼む遠坂」

「桜もね」

「はい、姉さん」

「まずこの聖杯戦争の聖杯なんだけど、もしかしたらこの世界の聖杯じゃない可能性があるわ」

「何だって?!」

「黙って聞いて。考えてみれば矛盾だらけなのよこの聖杯戦争は。

  サーヴァントは普通過去の英雄達、つまり『この』世界の抑止力である英霊を呼び出すものなの。

  なのに今回呼び出されたサーヴァントは『別の』世界の英霊を呼び出してるの」

「それってどう言うことだ遠坂?」

「う〜ん私も確証が持てないけど……

  『この』世界の聖杯を使っていないとしたら『別の』世界の聖杯を使っていたら?

  となると聖杯の器事態が機能が変わってくる可能性があるわ。

  だからMS(モビルスーツ)なんて呼び出したのかもしれない」

「つまり別の世界の聖杯を無理やりこの世界に持ってきたっと言うことか?」

「ええ、元々変すぎるのよMSとか人間じゃない英霊が呼び出されたり。

  そもそも英霊かどうか怪しいものだと思っていたけど……」

「それは聞き捨てならないな、リン」

「奇遇だなセイバー。私もそう思うよ」

「どーでも良いじゃねえかお二人さん、俺達が英霊だか幽霊だか知らねえが俺達は俺達だぜ?」

何時の間に……

「ウッ……なによセイバー、アーチャー」

「リン、オレは確かに人間ではないが確実に英霊だと確証している」

「そもそもリン、説明したではないか、英霊とは英雄達の魂だと。

  つまり英霊の魂が私に宿り『私』がサーヴァントの形として選ばれたのだ」

「俺は警戒に戻るぜ〜かってにやってな」

遠坂に迫るセイバーとアーチャー、そして付き合う気の無いライダー。

しかしセイバーやっぱりオレって言うのが地なんだな。

「もう分かったわよ!続き行くわよ。

  さっきアーチャーが言ってたけど英霊の魂がその形を作っているわけよね?

  となるとオリジナルの形じゃないって事にならない?」

「む……」

「ふむ……」

黙るセイバーとアーチャー、どうやら心当たりはあるようだ。

「でも遠坂、セイバーは搭乗者の思いが宿ったって言ってたぞ?」

「思いイコール魂には繋がらないって事知らない?思いは魂の声みたいな物よ。

  魂って言うのは体なんかを形成して一番その体その物を理解している、

  つまりその体の全てを知り尽くしているのが魂なの。

  思いだけじゃ何にも出来やしないわ、

  それに体の形状すら魂が決定してその最後の形をサーヴァントとして呼び出すの」

「?それじゃ変じゃないか。

  魂がその一番の理解者だとしたら形成するのは絶対に搭乗者の形になるはずじゃないか」

つまり、死んだ直前の『形』、つまり年老いた姿で死んだ場合、

その英霊は『年老いた姿』で召喚されないとおかしいと言うことだ。

「それに、以前の聖杯戦争のアーチャーは俺だったんだぞ?えらく相違点がないと思う」

「ああ、そっかそういうことか……」

なにやら一人完結モードに入った遠坂……ん?

「シロゥ」

「何だアーチャー」

「以前のアーチャーは君だったのか?」

「いや、まったくの別人さ、ただ出発点が一緒だったってだけで……」

確かに俺ではあったけどまったく違う未来の俺ではあったが……

「分かった、聞いて衛宮君」

何処から取り出したかめがねをかける遠坂、久々の講義モードだ

「つまり、英霊の魂はサーヴァントとして形作るとき他人のイメージも反映されるの。

  つまりどんなに最後の姿がお爺さんだったり腕が無かったりしても、

  他人が受けたイメージと一緒に反映されると、お爺さんでもなく腕が無い訳じゃなく元通り、

  つまり一番反映しやすい形になるの」

「そうか……だからセイバー達は」

「そうむしろMSに乗って戦っているときのイメージが反映されたわけ、

  でもコレも仮説の粋からでないわ……うだうだ考えてもしょうがないわね。

  桜、付いてきて。魔力の補給ついでにやりたいこともあるから」

「はい……姉さん」

桜、疲れてるのか?

いや魔力が減って辛いのか……説明の最中も黙ってたしな。

「桜、あんまり無理するなよ」

「はい、先輩」

よし、俺は片付けでもするか

片付けを終え一息ついていると

「シロウ」

「ん?ああ、セイバー話があるんだったな」

「単刀直入に言うが……今日は夜の見回りをしたいと進言する」

「む……」

「悔しいかな、アーチャーには長距離策敵能力がある。

  ライダーは可変して雲の中からでも町を見回しているにもかかわらず、

  私だけはそう言った能力が無いのだ、そこでやはり夜の見回りで地形などの正確なデータが欲しい」

「そうか、なら少し待っててくれ遠坂に許可を貰ってくる」

「すまない、シロウ。私が不甲斐無いばかりに……」

「気にするなセイバー、それに俺も町の様子は気になるからな」


さて、とは言ったもののどうやって遠坂を説得したものかな……


続く






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