それは、突然のセイバーの異変から始まった。

普段と変わらぬ、いや、変わらないはずだった夕食の一時。

いつものように御飯を一口含んだセイバーが突然立ち上がり―――

































口を押さえて、居間から駆け出していった。



































Mother,Father,Lover,and Married Knight

   第1話      by楓野








「セイバー!?」

なにかマズイものでも入ってたのか!?

後を追おうと立ち上がったところで、


「アンタはここにいなさい!!」


すごい剣幕の遠坂に押し留められた。

「なんでさ!?セイバーがあんな……」

「だからよ!!セイバーだってあんな所見られたくないはずよ」

「うっ」

そうだ。

セイバーだって女の子なんだ。

口を押さえてたってことは戻してるんだろうし、そんなところは見られたくないだろう。

「だけど……」

「大丈夫よ。私と桜で様子を見てくるから。桜、行くわよ」

「はい、姉さん」

いつになく真剣な表情の桜が遠坂とともに立ち上がる。

「…やっぱり俺も」

「だから聞き分けのない事言わない!!ああもう、アーチャー、ライダー!士郎押さえておいて!!」

「ふむ」

「了解しました、リン」

そう言って、二人がかりで俺を押さえにかかるアーチャーとライダー。

アーチャーの感触は無視したいが、羽交い絞めしているライダーから伝わる背中の感触は素晴らしい。

「鼻の下が伸びているぞ、衛宮士郎」

「はう」

……ちょっぴり反省。



で、数分後。

「ライダー、ちょっと」

「はい」

居間の入り口で顔と手だけ出して手招きする遠坂に、ライダーの体が離れる。

ああ、麗しき俺の乳感(乳の感触)が……

「……ですか」

「うん、メモを渡すから……」

「わかりました。しかし時間が……」

「あ、桜から伝言でリミッター解除……」

なんか遠坂とライダーの会話が途切れ途切れに聞こえてくる……ってリミッター解除?

「では、行ってきます」

「急いでね」

そう言って、ライダーは玄関の方に、遠坂はまた洗面所に戻ろうとする。

その背中に、質問を投げかける。

「遠坂、ライダーになに頼んだんだ?」

「買い物よ……詳しいことは良かれ悪かれ結果が出てから話すわ」

振り向いたまま答えて、そのまま去っていく遠坂。

「……結果?」

イマイチ何を言っているのか正確につかめず、首をかしげる。

さて、乳感がなくなったのでアーチャーにくっつかれているのもイヤになってきた。

「おいアーチャー、放せって」

「今放したら貴様はセイバーの元に行くだろうが」

「行かねえよ。いいから放せ。お前にくっつかれているのはなんかイヤだ」

「……いいだろう。私としても貴様にひっつくのは嫌だ」

言って、パッと体を離すアーチャー。

って、今まで顔で見えてなかったから判らなかったけど……

「アーチャー、顔色悪いぞ?」

「気のせいだ」

いや、気のせいじゃない。

冷や汗はダラダラ掻いてるし、顔も青くて自黒と混ざってなんかヘンな色になってる。

いつも背筋を伸ばして座っているコイツが、珍しくあぐらなんか掻いて貧乏ゆすりまでしてるし。

「お前さ、具合でも悪いのか?」

「だから気のせいだと言っているだろうが」

唸るように言って視線をそらすアーチャー。

「まさかな……私の……いや、そんなことはあるまい……」

なんか小さくぶつぶつ呟いてるし。

……大丈夫かな、セイバー。



「ただいま戻りました」

早っ!!

ライダー出てってから数分しか経ってないぞ!?

「リン、頼まれていたものです」

「ん、ありがと。じゃ、セイバーさっき言った通りに……」

「あ、はい……」

洗面所のほうからセイバーの声。

とりあえず、喋れるみたいだな。

そんなことを考えていると、ライダーが居間に戻ってきた。

「ライダー、何買ってきたんだ?」

「申し訳ありません、士郎。リンにまだ言うなと固く口止めされていますので」

「あ、じゃあしょうがないな……」

そんな会話をしていると、ひょっこりと遠坂が顔を出した。

「士郎、紙コップある?」

紙コップ?

「台所の戸棚に幾つか入ってると思うけど……何に使うんだ?」

「え?……あ……そ……そんなこと聞くんじゃない!!」


パカン!!


「がふっ!?」

赤い顔をした遠坂の放ったガンドが、妙に軽い音を立てて俺の額にぷち当たった。

うわ、頭クラクラする……。



なんとかクラクラする頭が治ってきた頃。

神妙な面持ちの遠坂と桜、そしてなんとなく嬉しそうなセイバーが戻ってきた。

「………結論から言うわ」

あんまり言いたくないんだけど言わなきゃならない、みたいな感じで遠坂が口を開く。

































「セイバー……妊娠してるわ」

































続く。


あとがき


『Mother,Father,Lover,and Married Knight』、やっと始まりました。

一番書きたかった話なので、書いてて楽しいです。

いきなりセイバーに子供ができてますが、妊娠するのか英霊っつーツッコミはナシの方向で。

次回はFateキャラの中でも管理人中ベスト3に入るあの人登場。

ヒントは……復活?

次回も気さくにヨロシク!!



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