「シロウ、ちょっと来て!!」

大声で叫んで飛び込んできたイリヤに、六人の視線が集中する。

「あー……イリヤ、今えらい事になってて大事な話してるから……」

「こっちだってえらい事になってるの!!いいから早く!!」

言いながら、俺の腕をぐいぐい引っ張る。

「ちょっと落ち着きなさい、イリヤ。一体何がどうしたのよ?」

「お仏壇!」

お仏壇?

「お仏壇がなんかガタガタ動いてるのよ!!」

……この家、騒動の神でも降りてきてるんだろうか?



































Mother,Father,Lover,and Married Knight

   第3話      by楓野








「あの、イリヤさん。詳しく教えてくれませんか?」

「えーっとね……私、ついさっきここに来たんだけど」

「……全然気づかなかったわよ?」

「多分、皆で沈黙していた時だろう。あの時、玄関の戸が動く音が」

「誰が喋っていいって言ったの?アーチャー」

「はい」

遠坂の睨みに、一瞬で口を噤むアーチャー。

……ホント、情けない……。

「ちょっとおトイレに行きたくなって、用を済ませて居間に行こうとしたんだけど……」

「けど?」

「なんか、カタカタって音がしたの。

  仏間の方だったから、誰かいるのかなって思って覗いてみたんだけど……」

「誰もいなかったんですね?」

「うん。それで変だなぁって思いながら戻ろうとしたら、

  今度はお仏壇の扉がガタガタってさっきよりも強く」

「……どう思う?皆」

俺にはあんまり見当が付かないので、皆に聞いてみる。

「どうっていってもね……」

「イリヤスフィール、その仏壇の扉は開けてみたのですか?」

「ううん。悪いものだと危ないから、開けないでこっちに来たわ。

  バーサーカーを令呪で呼んでもいいけど、そこまですることじゃないし」

「ふむ、賢明な判断です」

イリヤの答えに頷くセイバー。

余談だが、バーサーカーはなんでか普通に喋れるようになり、

今ではアインツベルンの森でセラ、リズと共に農業を営んでいる。

イリヤから聞いた話では『あの森を一大農場にしてみせる』とのことだ。

リズの奔放な奇行のせいでなかなか楽しい農業生活を送っているらしい。

「……放置しても構わない気はしますが……どうしますか?

  アーチャーの処分は中断し、見に行ってみますか?」

「うーん……」

なんか見に行くべきかどうすべきかイマイチ迷う。

見れば、俺以外のみんなも一様に首を傾げている。

「えー?見に行こうよ!こういうの放っておくのなんかヤダー!」

結局、イリヤの一言をきっかけにアーチャーの処分は一時中断、皆で仏間に行くことにした。



そして仏間に向かう道すがら、今までの話の内容をイリヤにも説明する。

「え!?セイバー妊娠したの!?」

「はい。リンが言うには三ヶ月ほどではないかと」

「ふーん……じゃあアーチャーと結婚するんだ」

「そうですね。アーチャー次第ですがそうできたらとは思っています」

そんな会話を背に聞きながら、俺はアーチャーに話しかける。

「おいアーチャー。どうするんだ?」

「貴様には関係ない」

「そんなわけあるか。セイバーは俺の家族だし、認めたくないけどお前だってそうだ。

  その二人がこんなことになったんだから口出しぐらいさせろよな」

思わず声にも熱が入る。

俺の隣を歩くアーチャーはしばらく黙り込んだ後、

「……責任は取る」

と、溜息と共に低く呟いて足を速める。

「おい、それってどういう……」

「静かにしてください、先輩」

アーチャーに聞き返そうとしたが、いつの間にか仏間についていたらしく、桜の声に止められた。

「……確かに、何か動いてる音がするわね」

「ああ。ガタガタっていうか……外に出たがってる感じだ」

念のため距離をとって、部屋の外から仏壇を観察する。

イリヤの言うとおり、扉の部分がガタガタ揺れている。

閂さえなければ、とっくの昔に開いているだろう。

「どうします?」

「アーチャーとライダーが前衛、士郎が中衛。私と桜が後衛でセイバーとイリヤが最後列……これでどう?」

俺は異存なし、他も大体異議なしだったが……

「む。リン、なぜ私が最後列なのです?」

セイバーだけが納得していなかった。

「セイバー、貴方妊娠してるのよ。もし攻撃でも食らってお腹の子に何かあったらどうするの?」

「そ、そうでした……感謝します、リン。私には配慮が足りなかった」

頭を垂れるセイバー。

「ついでに、体に負担がかかるといけないからギリギリまで戦闘も武装もしないこと。いいわね?」

「はい」

「よし……決まったな。行こう」

素早く仏間に進行し、打ち合わせ通りの陣形を取る。

「「投影、開始トレース、オン」」

俺とアーチャーが全く同時に干将・莫邪を投影する。

「準備いいわね?……ライダー!」

「フッ!」

遠坂の合図に無言で頷いたライダーが、呼気と共に釘剣を投擲する。

放たれた釘剣は孤を描きながら閂に向かって飛行し、



ガッ……!!!!



閂を真横から打ち抜いた。

その瞬間、観音開きの扉が勢いよく開く。

「何か出てくるっ!!」

遠坂のその声に反応して全員が身構えた瞬間!

































「復ッ活フォーーーーーーーー!!!!」

































……数年前に死んだはずの親父が奇声を上げつつ飛び出してきたのだった。

あ、なんか数年前に流行った郷ひ○みの『G○LDFINGER'99』が聞こえてくる気がする。

「「親父!?」」

「「キリツグ!?」」

俺とアーチャー、イリヤとセイバーの驚いた声が重なった。


「ハッハッハー!元気だったかい皆ー!?」


言いつつ、両腕を頭の後ろに構えて勢いよく腰を振り出す親父。

なんか、空気が微妙。

「あー……遠坂。とりあえず警戒しなくていい」

「そうみたいね……」

苦虫を噛み潰したような顔で腕組みをする遠坂。

アーチャーもライダーもすでに武装解除している。

桜も「あはは……」と乾いた笑いを漏らすのみだ。

「さてと……」

俺も干将・莫邪を魔力に戻し、少し後ろに下がって助走距離をとる。

そしておもむろに駆け出し、

































「いきなり出てきて何やってんだこのクソ親父ィィィ!!!!」



ドガァァァァァァァ!!!!


と、ドロップキック。


「バッチコーーーーイ!?」


また珍妙な声を上げてすっ飛ぶ親父。

































「怖がって……損した」

イリヤの呟きがなんともいえず空しく聞こえたのだった―――。






あとがき


というわけであの人=切嗣でした。簡単でしたね。

Fate本編にはほとんど出なかったのですが、なんかこの人妙に好きなんです。

ホロゥでは話に出てくるだけでセリフすらなし……(泣

HGネタなのはインパクト優先で。

実は切嗣復活と共に思いついたのがこの登場でした。

お笑いつながりで士郎にはドロップキックしてもらいました。


それでは、次回もキャルン☆とヨロシク!



web拍手設置しました。



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