きーんこーんかーんこーん……。

今日も今日とてチャイムとともにお勤めを終えて。

さて今日の夕飯はどうしようかと考えながら校門を出ると、


「雑種。旅に出るぞ」


などとのたまう金ぴか英雄王が仁王立ちしていたのであった……!


















ふぁて遊記

1.『旅立ち(ある朝起きたら魔王討伐のために家から蹴りだされました、みたいな?)


















「いきなりなんだよ、学校まで来て。旅行行くなら勝手に行けよ」

「何を言うか雑種。貴様も我とともに来るのだ」

「……なんでさ」

なに言ってんだこのうっかり王。

「俺、そんな約束してないぞ」

「煩いぞ、雑種。我が来いと言ったら黙ってついてくればよいのだ」

わーい、なんかスゲー我様発言してますよー。

マジ帰りてー。

「行くわけないだろ、この金ぴか。大体金もないし準備もしてないぞ」

「心配するな、金なら我が都合してやる。なに、王の施しというものだ。

  必要なものも全て我の金で買ってやろう」

「……それは確かに魅力的だけど、俺には学校だってあるんだ。だから、行けない」

「それなら問題はないぞ、衛宮士郎」

「アーチャー!?」

ギルガメッシュの後ろから歩いてくるのは、誰あろうあのアーチャーであった。

いつもの赤い外套ではなく、ワインレッドのシャツと黒のジーンズを無造作に着こなしている。

タッパがあるから妙に似合っているのがなんか悔しい。

「どっから湧いて出やがった、テメェ」

「人をボウフラか何かのように言うな。質問に答えるならば、アレが答えだ」

そう言って、背中越しにクイッと親指で背後を指すアーチャー。

その先を辿ってみると……

「ジープ?」

上の開いた、オープンカータイプのジープが、道路脇にデンと鎮座していた。

詳しい型式は判らないが、古いながらもちゃんと整備されているらしく、まだまだしっかり走りそうだ。

よく見れば、後部座席で見慣れたアロハ姿のランサーがタバコの煙を吐き出している。

あ、道端に吸殻捨てた。

「我が直々に捜し求め、購入した一品だぞ。無論一括払いでな」

無意味に胸を張る英雄王。

「……なにやってんだよ、アンタら」

なんか頭痛のしてきた頭を抑えながら、呆れて呟く。

「旅に出ると言っているだろう。理解能力がないのか貴様の頭は」

「うわめっちゃムカつく発言」

「とにかく行くぞ。凛が出てくると面倒なことになる」

「うむ。いくぞ、雑種」

ギルとアーチャー、二人がかりで腕を掴まれ、ジープに向け引きずられていく俺。

が、ハッキリ言って行く気なんてさらさらない。

「待てって!!」

全力で腕を振り解き、その場に立ち止まる。

「俺は行かないって言ってるだろ!?行くならお前らだけで勝手に行けよ!

  別に止めやしないからさ。東西南北どこ行っても構わないから三人でとっとと行ってくれ!

  つーか二度と帰ってくるな。主にアーチャー」

おお、俺にしては珍しくハッキリ意見を言っている。

遠坂やセイバー相手じゃこうはいかないからなぁ。

「……だそうだぞ、フェイカー?」

「……ふむ」

なんか妙にしおらしくなる二人。

……ちょっと言い過ぎたか?





































「……しかたない。強硬手段といこう」


前言撤回!!!


うわなんか悪人っぽく『クックック』なんて笑ってやがる!!

テメェそれでも正義の味方か!!

「生憎とそんな理想はとっくの昔に捨てたのでね」

「モノローグ読んでんじゃねえよ!!」

「では、例の作戦でいくとするか」

「土下座して同行させてくれと哀願するまでやって構わんぞ」

なんかヤバ気な作戦な気がする。

一か八か―――

「全力撤退!!」

踵を返し、校舎に向かって全力でダッシュする。

足の強化もこれ以上ないほどにスムーズにいき、スタートダッシュも完璧だった。

最高のコンディション、今なら100m自己記録も大幅に更新できる―――!!

「逃すか。ギルガメッシュ!」

「任せろ。天の鎖エルキドゥ!!」

うそーーーーーーーーーん!!!!??











ジャラジャラジャラララララララ!!!











「離せーーーーーー!!!!」

あっという間にがんじがらめ(というかぐるぐる巻き)にされて地面に転がる。

「ナイスだ。そのまま引きずれ!」

「フン、造作もなかったがな」

ズルズルと音を立てて引きずられ、二人の足元へとたどり着く。

「しばらく眠っていろ」




ゴギャス!!


「ドゥブッハァ!?」




やたらといい音を立ててアーチャーの手刀が俺の首筋にヒットする。

その瞬間、俺の意識は暗闇へと沈んでいったのだった……。







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