「ただいまー」

「おう、帰ってきたか」

コンビニで、なるべく二日酔いにもよさそうなものを幾つか買い込んで戻ってくると、

幾分楽になった感じのランサーがタバコなどふかしていた。

「頭痛いんじゃなかったのか?」

「それとこれとは別モンだ」

なんて言いながら煙を上に向かって吹き出す。

「まぁいいけど。メシ、食うんだろ?

  ついでにみそ汁も買ってきたから飲んどけ。二日酔いにいいらしいし」

「おう、サンキュ。シジミあるか?シジミ」

「というかシジミしかないんだけどな」

備え付けのポットでお湯を沸かして、カップ春雨やみそ汁に注ぐ。

そんなことをしていると。

「ぎゃーーーーー!?雑種!我の頭が!

  我の頭が破裂するーーーーーー!?

いきなり起きたギルガメッシュが、大声でわめきだした。

「うるせえよ金ぴか!!」

そんなギルガメッシュに思わず怒鳴る俺。

そして、

「みそ汁でもかぶってろダメキング!!」

ランサーがみそ汁をぶん投げて、見事にギルは頭からみそ汁まみれになったのだった。


「熱いぞーーーーーーーーーー!!」


……よけいうるさい。


















ふぁて遊記

5.『作戦会議(『隊長!敵の軍勢間近です!』『よし!撤退!早い者勝ち!』)


















「あー……やっと調子出てきたって感じだな」

時刻は夜七時。

四人で地べたやソファに座り込んで、ランサーがタバコに火をつけながら呟く。

「ランサー、我にも一本よこせ」

「お前、自分の持ってんだろうが」

「昨日吸い尽くした」

「ったく、しょうがねえなぁ。ほれ」

タバコを受け取ったギルガメッシュもまた、火をつける。

ランサーほどではないが、コイツも喫煙家なのだった。

「すまんが、私にも一本貰えるか」

俺の隣に座るアーチャーがそんなことを言い出した。

ギルガメッシュにみそ汁を与えた後、

『うお!?なぜ私はトイレで寝ているのだ!?』

という叫びが聞こえてきて、慌ててアーチャーが飛び出してきた。


その後、みそ汁をがぶ飲みしたかと思えばまた吐いた。


ちょっと吐いちゃいけない物も吐きつつ、ようやくまともに戻ったのがつい一時間ほど前。

大体、コイツはジョッキのイッキに飽きたとか言い出してピッチャーでイッキし始めたのだ。

そりゃ吐かない方がおかしい、つーか死ぬぞ普通。

……コイツに運転手任せて大丈夫なのかなホント。

「お前、吸えるのか?」

「別に吸えないわけではない。金がかかるから普段は吸わんだけだ」

さすが倹約家。

タバコとライターを受け取ったアーチャーが、タバコに火をつける。

「………久しぶりだ」

煙を吐き出しながらしみじみとそんなことを呟いていた。

「おいランサー、つまらんぞこれは。何故ゴールデンバットにせぬ」

「うっせえ!んなマイナーなモン買ってられっか!」

顔をしかめながら言うギルガメッシュに、ランサーが吼える。

ランサーが吸っているのはマルボロといって赤い箱のタバコ、

ギルガメッシュが好きなのは意外にも安くてクセのある上にドマイナーなゴールデンバットなのだった。

本人曰く、『値段はともかく名前がよい』って言ってたけど。

「言っとくけど、俺未成年だから酒とタバコは買わないぞ。買うなら自分達で行けよな」

「ふん、まったく面倒臭い。おいランサー、ひとっ走り言って来ぬか」

「ざけんなテメェ!俺はさっき行っただろうが!テメェが行け!」

結局俺が買ってきたカップみそ汁とカップ春雨だけでは足りず、

ランサーがカップ麺だのおにぎりだの色々と買ってきたのだった。

夕飯はルームサービスで済ませて、今は今後の相談中。

さすがに俺やアーチャーは昨日の今日で酒を飲む気にはなれなかったのだが、

ランサーは缶ビールを飲んでいる。

「ま、買出しは後にするとしてだ。さっきコンビニで地図買ってきたんたがよ」

バサッ、と地図帳を広げるランサー。

「何処行くよ?」

「考えてみれば、旅に出ると決めただけで行き先は決めていなかったな」

今明かされる衝撃の事実。

ここまで無計画だったのかコイツらは……!

「なあ、今更だけどさ、なんでいきなり旅に出ようなんて言い出したんだ?」

ホントに今更だが、コイツらが旅に出ようと思った理由を聞いていないことに気が付いた。

「言ってなかったか?コイツが読んだ漫画の影響だ」

言いつつ、ギルガメッシュを指差すランサー。

つーか漫画かよ。

「まあ、それだけではない。

  よいか、我が旅立つということはセイバーとしばらく離れるということだ。

  しばらく会わぬうちにいつしかセイバーは己の心の内に気づく。

  切なさはつのり、そして我が帰る頃には『私を妻にしてください……』と!!」

鼻の下を一メートルくらい伸ばしながら熱く語るギルガメッシュ。

もはや妄想の域に達しているかもしれない。

つか、ありえねー。

万に一つもギルガメッシュにセイバーが惚れるなんてことはないだろ。

どっちかというとアーチャーに求婚しそうな気がするけど、

それを言うとまだ鼻の下伸ばしているギルガメッシュがかわいそうなんでぐっとこらえる偉い俺。

「で、アーチャーと俺を巻き込んだわけか?」

「いや。私は自ら同行を申し出た」

「なんでさ?」

「…………」

聞き返すと、途端に黙り込んで俯くアーチャー。

あ、なんか肩が震えてる。

「……凛が……上納金が足りんと言って……ゲイ・バーで働けと……」

「なに考えてんだアイツ」

というか、上納金?

「あー、俺も似たようなこと言ってバイト代取られたな。

  さすがにゲイ・バーで働けとまでは言われなかったが……」

後半、なんとなく気の毒そうに聞こえるランサーの声。

……ホントになにやってんだあの二人。

この旅が終わったら、少し注意しておこう。

「フッ……すまん、私のせいで場が湿っぽくなってしまったようだ。

  さあ、我々の行き先を決めようではないか!」

先程とは打って変わって吹っ切れた表情のアーチャー。

「おうよ!湿っぽいのは似合わねえ、楽しく行こうぜ楽しくよ!!」

「そうだな!」

「うむ」

無理やりにテンションを上げつつ、半ばヤケになって缶ビールで乾杯。

結局、少し酒が入りつつ作戦会議は続くのだった。






「で、どうするよ?北か南か東か西か……」

「西はどうだ?あの本でも目的地は西であったぞ」

「それもいいが、北に行くなら早い方がいいのではないか?」

「そうか、雪が降り始めると厄介かもな……」

「けどよ、北に行ってまた戻ってくるのか?」

「別に金なら心配いらんのだ。往復しても問題はあるまい」

ギルガメッシュの頼もしい発言を受けながら、相談すること一時間。

ついに行き先が決定した。

「んじゃ、とりあえず目的地は北海道。

  ルートは適当で、適当に何日か滞在しながら目指す。

  北海道に着いた後はその後考える――これでいいか?」

ランサーのまとめに、全員で頷く。

というかこれだけ決めるのに一時間もかかったのがなんか情けない。

「やっと決定したか」

「妙に時間かかったな……なんでさ?」

俺とアーチャーのぼやきに、ランサーとギルがため息をついた。

「お前ら二人が『新潟の米が食いたい』っつって譲らねーからだろが!!」

「まったく、いらぬプロ根性発揮しおって……」

とはいっても米どころ新潟の米は、料理人として気になるものなのです。

結局行きは太平洋側、帰りは日本海側を通ると言うことで合意し、

晴れて新潟行きは実行されることになったのだった。

「さて。昨日の今日ではあるし、我はもう寝るぞ」

「私たちも寝るとするか」

「んじゃ、部屋割りはグーパーな。グーの二人がこっちの部屋ってことで」

「オッケー。それじゃ」




『グッ、トッ、パッ!』




「「お?」」

「「む?」」

俺とランサー、そして旧新アーチャーコンビの声が重なった。

俺とランサーがパー、アーチャーコンビがグー。

「うし。坊主、行こうぜ」

「ああ。じゃ、明日な」

ランサーと連れ立って隣の部屋に移る。

「風呂、どうする?」

「ジャンケンで決めるか」

その後、三回あいこの末に俺が勝ち、先に入ることになった。

俺が上がるのと入れ替わりにランサーが入り、

二分という驚異的な速さで出てきたランサーと色々会話しているうちに。



いつのまにか、眠りに落ちていたのだった。



あとがき

今回ちょっとギャグは弱め。

次回はまた女性陣の動向を書こうと思います。。


ところで、グーパージャンケンって皆さん掛け声なんて言ってます?

私の周囲では『グーットグットー、グッ、トッ、パッ!』とか単に『グッ、トッ、パッ!』だったりするんですが。

地方によってやっぱり違うものなんですかね?





感想なんかありましたらどうぞ。



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