ホテルの一室で目を覚ます。

食堂で四人揃って朝食を取り、部屋に戻って身支度を開始する。

風呂は俺が先だったので、歯磨き・洗顔・トイレはランサーが先だ。

ランサーが洗面所に篭っている間、テレビで天気予報をチェックしてみる。

今日も快晴、少なくとも後数日はこんな天気がつづくらしい。

「坊主、洗面所空いたぜ」

「ん、了解」

出てきたランサーと入れ替わりに俺が洗面所に入る。

歯磨きやらなんやらを済ませ、出発時間までランサーとダベる。

そして午前九時。

四人揃ってフロントへ向かい、チェックアウトして駐車場のジープの元へ。

アーチャーがエンジンキーを捻る。

一日放っておいたが機嫌は損ねていないらしく、エンジンは快調。

さあ、出発だ。



今日こそ、冬木市を出なければ―――!


















ふぁて遊記

6.『出発(へいへいごーごーぱらりらぱらりら)


















ちょっと戻って、四バカ一行がホテルで目を覚ました頃。

衛宮邸では、再びバカ騒ぎが巻き起こっていた。


「なんで誰も追いかける方法考えてないのよー!!」


「姉さんだって考えてないじゃないですか!!」


「二人とも落ち着きなさい!!」


凛がわめき、桜が叫び、セイバーが吼える。

どうやって四バカを追跡するかという命題に、ようやく思い当たった追跡部隊一同。

まったくもって遅すぎる。

「二日酔いで倒れて追跡不可能なんてコトになったら笑いものよねー」

「面目次第もございません……」

イリヤの呟きに、ライダーが目に見えて縮こまる。

「シロウ、今どのへんにいるのかな……」

窓の外を見ながらちょっとだけ寂しそうに呟くイリヤ。

でも彼らはまだ新都のホテルにいます。

そんな騒ぎの中、

















ドタドタドタドタ!!

















「士郎ー、朝ごはーん!!」

騒動を加速させる爆弾が現れたのだった。

「タイガ、今それどころじゃないの」

「?どういうこと?」

首を傾げる大河。

「はい、これ」

昨日から何度もくしゃくしゃにされたそれを、大河に手渡すイリヤ。

それを受け取った大河はしばらくそれを読みふけった後、

体中がふるふる震えだしたかと思うと、



























「どういうことなのよこれーーー!!!!」



























と、大音量で絶叫した。

その姿、まさに虎の雄叫びの如し。

あまりの声量に、言い争っていた凛と桜も大河の方に顔を向ける。


「なんでみんな止めなかったのよーーーーー!!!!」


「気づいたらもうラチられてたんです!!」

「で、ですから今こうして追いかけようと言う相談を……」


「だったら早く行かなきゃダメじゃない!!!!」


「ですがタイガ、追いかけようにも足となるものが」


「そんなのウチの車貸してあげるんだからーーーーー!!!!」


そう、大河が吼えた瞬間。



























『あ!!』



























ようやくそれに思い至って声を合わせる追討部隊の面々。

そう、藤村組には車が何台か常駐している。

頼めば、貸してくれないこともないだろう。

加えてライダーは免許もちだ。

アーチャーとは違って正規の免許証であり、暇潰しに教習所に通って取ったのだとか。

ここにきて、最大の命題をクリアした追討部隊一行。


「全員、準備開始!!出発は30分後よ!!」


『了解!!』


凛の号令に他の四人が答え、一瞬にして散開する。

桜は家中を駆け回って着替えやタオル等をカバンに詰め込み始める。

セイバーとイリヤは、台所を引っ掻き回して当面のおやつを確保する。

ライダーは藤村組までひとっ走り、車を借りに行った。

そして隊長である凛は、何処かへ電話をかけ始める。

そして大河だけは、状況についていけずにぽつんと居間に立ち尽くしていた。

「……うぅー……置いてきぼりって酷いんじゃないかなー……」

ちょっと涙目になって呟くが、どこからも返事は帰ってこなかった。



で、30分後。

追討部隊一行は、ホントに30分で旅立ちの準備を終えていた。

衛宮邸の玄関前には、10人弱の人数が集まっている。

「じゃ、留守番よろしくね、カレン、バゼット」

「ええ」

「わかっています」

凛が声をかけたのは、つい先程電話で呼び出されたカレンとバゼットの二人であった。

カレンは教会の改修後そちらに移り住んでいる。

バゼットの方は、結局何でも屋のような探偵のような仕事を始めてしまい、

エーデルフェルトの屋敷を事務所兼自宅としている。

二人とも、凛の言葉どおり留守番として呼び出されたのだ。

カレンの方は純粋たるボランティアだが、バゼットの方はれっきとした凛からの依頼である。

このところ依頼が来ていなかったらしく、二つ返事で了承した。

もっとも、カレンの方も珍しく自虐的に、

『どうせ教会も開店休業状態ですから……』

等と言っていたあたり、相当にヒマだったのだろうと思われるが。

そしてその横では、

「藤村先生、やっぱり来れませんか?」

「行きたいのはやまやまなんだけどねー」

残念そうに尋ねる桜と、やはり残念そうに答える大河の姿があった。

始めは大河も行く気マンマンだったのだが、

『タイガ、教職の方は良いのですか?』

というライダーの一言に我に返り、泣く泣く同行を断念したのだった。

「イリヤちゃん、お土産よろしくねー」

「まかせといてタイガ。買った先からポンポン送ってあげるから」

笑顔で土産を要求するタイガに、頼もしい返答をするイリヤ。

さすが追討部隊のスポンサーである。

「リン、荷物の積み込み終わりました」

セイバーが勢いよく車のトランクを閉める。

雷画爺さんの『どうせ旅すんならでかいの乗ってけ!!』という大変豪儀な一言により、

追討部隊には黒のミニバンが貸し出された。

最大八人乗り、荷物と追討部隊全員が乗ってもまだ余るというスペースの広さである。

「藤村先生のお爺様に感謝ですね、ホント」

「よし、乗り込むわよ!!」

凛の声と共に、わらわらと車に乗り込む追討部隊の面々。

運転席には当然ながらライダー、助手席に桜。

その後ろの座席にイリヤ、凛、セイバー。

三列目の座席は荷物置き場だ。

霊体化しているが、バーサーカーもきっちり乗っている。

もっとも、天井の高さが足りずに頭が車外に飛び出しているが。

もし見ることができたら、非常に面白い図になるだろう。

「じゃ、行ってるねタイガ」

「バゼット、カレン、後頼むわよ」

「お土産買ってきますから!」

窓から首を出して出がけの挨拶をするイリヤと凛、桜。

「がんばってねー。あと、車はなるべく無事に返してくれるとうれしいなー」

「是非あの性悪どもを連れて帰ってください。首に縄つけて」

「無事を祈っています」

それぞれに返事をする留守番組。

ライダーが、キーを捻ってエンジンをかける。

途端に響きだすアイドリング音。

「では、行きます」

ゆっくりと走り出す黒のミニバン。



『行ってきまーす!!』



追討部隊の元気な声が、辺りに心地好く響きわたった。



「姉さん、まずはどこへ?」

「アサシンに話を聞いてみましょう。いなかったらキャスター。

  声の一つくらいかかってるかもしれないわ」

「では、柳洞寺ですね」

こうして、四バカとほぼ同時。

追討部隊一行は、彼らを追って旅立ったのであった―――。





あとがき

なんかホントギャグが弱い。

次回はぷっ壊れたのが書けるといいなあ。


というわけで、大河は行けませんでした。

切り込み隊長にふさわしい人材なのですが……。

あと、初めて書いてみて思ったのですがけっこう動かすの難しいです。

こう考えるとTYPE-MOONのスタッフってスゲェなぁ……





感想なんかありましたらどうぞ。



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